銀河

 自然界に存在する階層構造について考えてみよう。現代物理学の最先端に位置するクオークをはじめとする素粒子、陽子・中性子・電子からなる原子、分子そして結晶、細胞、高等生物さらに地球、太陽系、銀河系、銀河群、銀河団、超銀河団・・・近年の宇宙物理学の進展は、この先に続く階層に新たなる発見をもたらしている。ハッブルによる膨張宇宙の発見、天文観測衛星COBEによる宇宙背景放射のわずかなゆらぎの発見、さらに米国のマーガレット博士らによる宇宙地図の作成と銀河分布の泡構造の発見、そして、天文観測衛星WMAPやPlanckによる宇宙背景放射のさらなる高解像画像やハッブル宇宙望遠鏡による深宇宙銀河のすばらしい天体写真が撮影され、公開されている。このような広大で遠い宇宙を知ることは、遠い過去をさぐることでもあり、時間を超越した未知なる世界に足を踏み入れることでもある。遠方の銀河について知ることは、宇宙の歴史書をひもとくことに他ならないのである。

 

 銀河の姿はさまざまである。一般に渦巻き型、棒渦巻き型、楕円型、不規則型などに分類されているが、大きさも矮小銀河から巨大なものまでいろいろな種類のものが知られている。しかし、どれも膨大な数の星たちの大集団であり、数100万から数1000億個の星たちを含んでいる。私たちの銀河系も約2000億個の星たちの大集団であるといわれている。しかしまだよくわからないことも多い。銀河の進化のシナリオ、ダークマターの問題など、そして私たちの銀河系についても、もしかしたら棒状構造をもつ棒渦巻き型ではないかともいわれている。ただ私たちの銀河系について、人類という知的生命体が存在することは確かである。では他の銀河にも知的生命体つまりETはいるのだろうか。私たちの銀河系が特殊なものでないかぎり「いる」と考えるのが自然であろう。

 

 SETIの話になるとよくドレイクの式というのが取り上げられるが、この式で仮に私たちの銀河系においてはこの地球以外には知的生命体が存在しないという結果になったとしても、この宇宙には数千億もの銀河が存在している。この事実はどんな可能性を示してくれているか。私たちの銀河系が特殊なものでないことを祈りたい。

 

 ・・・銀河の姿を知ることは、きっと私たちの存在についての何かを知ることにちがいないのであろう