M87銀河のジェット放出

 おとめ座銀河団の中心的存在といわれるM87銀河・・・その中心に潜む超巨大ブラックホールによるジェットの放出で有名でありますが、それはさておき、この方向を写真におさめるといろいろな銀河が写ってきます。要するに、銀河系内の物質に邪魔されないと、はるか遠くの世界が見えてくるわけであります。ちなみに、視野がわずか20分角程度の画像1にも、いくつもの銀河が写っています。まずは8.6等級のM87、そして11.4等級のNGC4478、12.2等級のNGC4476とつづき、南には11.6等級のNGC4486Aが恒星状に見えています。さらにIC3443にいたっては16等級程度と思われます。M87以外のこれらの銀河は、みかけの大きさも小さく、おとめ座銀河団よりはるか彼方遠くに位置していると思われます。光のシミのようなIC3443にいたっては、おそらく数億光年以上の世界でしょう。

画像1 M87近傍の銀河たち

2010年5月2日

35cmシュミットカセグレン望遠鏡

レデューサー 合成焦点距離2485mm(F7)

露出6分を8枚コンポジット合成(加算平均)

ASTRO 50D(冷却 EOS 50D)

ISO3200

ホワイトバランス  オート

NRF-JPNフィルター

 ・・・と銀河散策をしたところで、やはりM87といえば“ジェット”であります。画像1のM87を見ても、中心から西北西(右上方向)にちょっと明るいコブのような部分が見えていますが、1分露光を6枚コンポジット(加算平均)した画像と6分露光を8枚コンポジット(加算平均)した画像をコンポジット(加算平均)し、さらに画像サイズを画像1の4倍に拡大し、ジェットと銀河の両方が見えるように処理したのが画像2です。銀河本体は黄色っぽいのですが、ジェットは青色系であることがわかります。

画像2 放出されるジェット

2010年5月2日
35cmシュミットカセグレン望遠鏡
レデューサー
合成焦点距離2485mm(F7)
露出1分6枚と露出6分8枚をコンポジット合成(加算平均)
ASTRO 50D(冷却 EOS 50D)
ISO3200

ホワイトバランス  オート
  NRF-JPNフィルター

 原因は中心に鎮座する超巨大ブラックホールです。1994年のハッブル宇宙望遠鏡の観測で、太陽の約30億倍の大質量だとされましたが、その後、太陽質量の64億倍はあるという発表もなされたり、何かと話題になっています。