M108近傍の無名の銀河たち

 おおぐま座にあるM108銀河・・・明るさは10.7等級、見かけの大きさは8.7′×2.3′で北斗七星のところにあります。複雑に入り乱れた暗黒帯が印象的で、不規則銀河のように見えますが、Sc型渦巻銀河を横から見ている姿であると考えられています。

35cmシュミットカセグレン望遠鏡
レデューサー
合成焦点距離2485mm(F7)
露出15分を4枚コンポジット合成(加算平均)
キヤノンEOS kiss D
ISO1600

ホワイトバランス  オート
UIBAR&NRF-JPNフィルター

 でも、この画像の中には別の銀河がいくつも潜んでいます。銀河は恒星と異なり、次のような特長があるはずです。

①面積をもっている。
②恒星と同様の面積であれば、中央集光が弱くぼんやりしている。
③しばしば、楕円形や細長い紡錘形をしている。


 これらの特長を手がかりに、元画像を調べてA~Hまで8つほどピックアップしてみました。

 いずれも小さく、強く画像処理を加えると恒星状になってしまいかねないので、ここではダーク減算してコンポジット(加算平均)した元画像を、モノクロモードでレベル調整程度に抑えて、形状だけに注目してみることにしました。Aは明らかに銀河でMCG9-19-1という番号がついています。明るさは16.8等級、見かけの大きさは0.5′×0.3′の渦巻銀河とされています。たしかに渦巻銀河をななめから見ている感じがします。M108の近傍に見えますが、実際にはずっと遠方にあるのでしょう。

 A以外は無名で、Bは円形ですが恒星に比べてかなりぼんやりしています。C,E,Gはななめに傾いた楕円形、FとHは縦長の楕円形、Dは縦長の紡錘形をしていて、いずれも恒星像とは異なっています。
Fの右上の明るい恒星からGに向かって、かすかなシミのような光が数個連なっていますが、これはとてつもなく遠方にある“銀河連鎖”なのかもしれません。

 

 画像1~4の領域を、白枠で示したのが次の画像です。

 北斗七星といえば、あの有名なハッブルディープフィールドの舞台にもなった領域です。この方向は天の川銀河の銀河面から離れていて、星間ガスやダストも少なく、非常に遠方まで見渡せる領域なのでしょう。

 

 これらの無名の銀河たち・・・いったい、どのくらいの距離にあるのでしょうか。M108の大きさに比べて、どれもはるかに小さい・・・。M108ですら数1000万光年であることを考えると、少なくとも数億光年、ひょっとすると数10億光年のレベルかも・・・。

 宇宙は広大深遠であります。