大口径50cmドブソニアン(笠井トレーディングNinja-500)を導入し眼視観望を楽しんでいます。この望遠鏡は鏡筒構造のため外部からの迷光もなくコントラストの良い像をみせてくれます。大口径50cmの能力は街明かりのある自宅では発揮できませんので、暗い空を求めて車に積んで移動します。このコーナーでは、50cmドブソニアンでの観望によるいろいろな天体の姿について紹介します。

 

口径 焦点距離
500mm 4.5 2250mm

Nb DN OC Gb Pl Gx
散光星雲 暗黒星雲 散開星団 球状星団 惑星状星雲 銀河

 

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M13(ヘルクレス座)Gb


 この天体は高倍率でものすごい姿をみせてくれます。ナグラー17mmで“なかなか良い良い”と思っていたのですが、XL10.5mmの倍率200倍オーバーで眺めてみても、薄れることなく視野を埋めつくす美しい微星の群れ・・・大迫力であります。中心部は決して白い星雲ではなく、ずっと奥のほうにかたまっている微星のツブツブ感がたまらなく神秘的なのです。亀裂のようなものや、枝のような星の並びも見えるのですが、全体としてはやはりまるい。奥行きのある球体なのです。写真では決して味わえないこの立体感。きっと視覚神経細胞と脳の連携プレイで、奥行きのあるすごいものが見えているのでしょう。

 まだ見ぬETに向けて、アレシボ電波天文台からこの天体に向けて放たれた電波は、まだたった数10光年のところです。でも、この天体までの距離は22000光年・・・まだまだこれからも電波の旅はながく続くのです。でも、ドブソニアンの旅でこの視野に見えているM13は22000÷200という距離・・・およそ100光年・・・ずいぶん近くで見ていることになります。とっくに電波を追い越してしまった気分になります。目の前に広がるM13の星々、どの星あたりにETが居そうなのかそろそろめぼしをつけたい気分・・・宇宙への旅を実感してしまいます。
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M15(ペガスス座)Gb

 50cmを富士山5合目まで運んで見るM15はすばらしいの一言につきるのです。まず、空気が薄い分、シーイングに恵まれることが多い。中心にはものすごい集光が・・・まるで、一点に集中しているかのようです。そして、それをとりまく無数の微光星。一時、ハッブル宇宙望遠鏡がこの球状星団の中心部に太陽質量の約4000倍の中質量ブラックホールを発見したといわれ話題になりましたが、まさにそのようすを実感できるのです。ハッブルでなくても50cmによる眼視で発見した気分になっちゃいます。それほど、中心の集光は印象的です。ただ、この中質量ブラックホールの存在はその後の再調査で否定され、中性子星や白色矮星が密集しているなど、中質量ブラックホール以外の何か見えない質量があるのだろうと考えられています。でも小さなブラックホールくらいはあるかもしれませんね。

 まずはナグラー31mmで捉え、ナグラー17mmで探査する。超広角全視野ピンポイントの星像の中にぽっかりと浮かんでいる。写真ではつぶれてしまいがちの中心部。写真では見られない天体の姿が眼視で見えてくることもあるのです。
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M20三裂星雲(いて座)Nb

 「うーん、割れている!」・・・明るい星のまわりにぼんやりとした光芒・・・それがヒビが入ったように三つに割れている。ちょっと、不気味な感じであります。下(北)の方にも、ぼんやりとした光芒が見えている。そういえば、この天体は「HⅡ領域の赤と星の光を反射するダストの青が織りなす世界」・・・ふたつの星雲が南北に並んでいるのです。
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M27亜鈴状星雲(こぎつね座)Pl


 代表的な惑星状星雲のひとつであるM27、亜鈴状星雲の名のとおり「鉄亜鈴」のかっこうをしていると思っていたのですが・・・よく見るとまるいのです。「鉄亜鈴」のへこんだところには実は淡いガスが充満していて全体としてまるくなっているのです。実はこのガス、長時間露出をかけた天体写真では見ることができるのですが、実際に眼視で観察してみるとちょっと感動してしまいます。それから、「鉄亜鈴」の中にはあきらかに細い棒状の構造も見えているのです。恒星が死んでガスを吹き出したわけだからまるくて当然だし、「鉄亜鈴」や「棒」のような「対称形の構造」をもっている惑星状星雲はほかにもたくさんあるし、めずらしいことではないのですが、さらにこの星雲は視直径が大きく、なにかモヤモヤとした濃淡さえも見えてくるのです。そして、白色矮星となった中心星がポツンと見えています。

 いったいどんな星が死んでこのようになったのでしょう、ETはいたのでしょうか、私たちの太陽はどんな最期を迎えるのでしょう・・・そんなことを考えながらついつい見入ってしまうのです。
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M31と伴銀河(アンドロメダ座)Gx

 私たちの銀河系のお隣のアンドロメダ銀河M31は秋の夜空をもっとも代表する銀河です。双眼鏡でながめてもいかにも銀河らしい姿が容易に観察できますが、望遠鏡でながめるとその姿は一変するのです。大きすぎて視野におさまらず一度に見渡せないのです。しかし、いくつかの詳しいようすがわかってきます。まず、はっきりした暗黒帯が2本見え、大きく広がった周辺部には濃淡があることがわかります。この濃淡の濃いところはいわゆる恒星雲でしょう。そして、私たちの銀河系の大小マゼラン雲のごとくM32とM110というふたつの小さな楕円銀河が伴銀河として見えています。しかし、これは数ある天体写真のどれを見てもみなそうなっているし何のことはありません。でも、眼視でなければなかなかわからないことがあるのです。それは、中心部のようすがM31、M32とM110ではっきりちがうのです。M110の中心部はとらえどころのないぼんやりとした光芒が広がっているだけですが、M31とM32の中心には明らかに恒星状ともいえる光の集中が見られるのです。特にM31では全体が大きいだけにはっきりしています。全体の実直径が約10万光年とすると、わずか数100光年あるいはそれ以下のせまい範囲に強力な光が集中しているようです。ここには何か特別なことがありそうなことが実感できるのです。

 近年、いろいろな銀河の中心にどっかりと巨大なブラックホールが居座っていることがよく話題になります。私たちの銀河系も例外ではありません。ブラックホールそのものは絶対に見ることはできませんが、吸い込まれていく物質が高エネルギー状態になってさまざまな強力な電磁波を放出するといわれています。そう考えると、何が見えているのか容易に想像がつくのです。・・・ブラックホールが見えているのです。
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M33とNGC604(さんかく座)Gx&Nb

 眼視で直接見ることのできる銀河系外散光星雲といえばNGC604・・・さんかく座にある局部銀河群メンバーのひとつM33の中にぽつんと浮かんでいます。逆S字状の渦巻きの中心部からやや離れたところに、なんとなく四角い感じの目立つ光斑として見えています。きっと、私たちの銀河系でいえばあのオリオン大星雲のように、つぎつぎに新しい星を生み出しているのでしょう。

  M33といえば、Sc型の代表的な銀河で、腕の巻き方もゆるくなんとなくおとなしい銀河のようなイメージがありますが、じっくり眺めると中心部になにやら暗い暗黒帯のすじのようなものが見えたり、ゆるく広がった銀河の腕にも大きなこぶのような濃淡が見えたりと、けっこうバラエティーがあります。きっと巨大な恒星雲がこぶのように見えているのでしょう。そして、もっと注意深く観察していくと・・・ほかにも散光星雲の光斑が見えてきました。ウラノメトリア2000で調べてみると・・・見えているその位置、銀河中心に近いところに592、すこし離れて588と記されていて、「うーん、604の仲間がまだいたのか・・・。」とひとりつぶやいてしまうのでした。

M35とNGC2158(ふたご座)OC

 ふたご座の大きな散開星団M35を双眼鏡で眺めてみると、なにかチリチリとして見え星の集団であることがわかります。さらに、望遠鏡を使うとそれぞれの星に完全に分解され、視野いっぱいに明るい星たちの巨大な集団が見えていることがはっきりしてきます。望遠鏡を使うと遠くのものが近くに見える、だからたくさんの星たちにはっきりと分かれてみえる・・・ごくあたりまえのことです。しかし、よく見るとこのすぐ近くにまるで双眼鏡で見たM35のごとく、なにかチリチリとした見え方の散開星団NGC2158があることに気がつくのです。微星が小さな三角形の形に集まっているのです。きっとこの星団はM35よりはるかに遠くにあるのでしょう。もし、宇宙に飛び出して、例えばハッブル宇宙望遠鏡にアイピースをつけてこの星団を眺めることができたらどんなふうに見えるのでしょうか。きっと、地上からの望遠鏡でみえるM35のように見えるのでしょう。宇宙には奥行きがある・・・そんなあたりまえのことをアイピースを通して実感させてくれるのです。

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 もう一つこのM35を見ていて気がつくことがあります。星が八の字に配列しているのです。他の散開星団にもしばしばいえることですが、ゆるやかな曲線状に星たちがならんでいることは多いものです。星は凝縮したガス雲から誕生しますが、ガス雲の凝縮はどのように生じるのでしょうか。たとえば超新星爆発が起こったとして、その強い衝撃波が周囲に伝わっていくあいだにガスを凝縮することがあれば、そのガスは球殻状に凝縮し地球からは円弧状に見えるでしょう。そこから星たちが生まれてくるとしたら・・・きっとゆるやかな曲線状に並んで生まれてくるでしょう。超新星爆発が引き金となって生まれた星たち・・・そこには超新星がまき散らした大量の重元素も存在するはずです・・・そして、生命はこれらの重元素が材料となっている・・・こんなことを考えながら観察していると、なにかわくわくしてくるのです。銀河系の未来は生命で満ちあふれているのかもしれません。


M42オリオン大星雲(オリオン座)Nb

 「うーん、やっぱりすごい!」何度見ても飽きることのないすばらしい光景です。アイピースの視野いっぱいに広がる「大星雲」という名に恥じることのない姿。大きな翼を広げているかのような星雲本体、その翼の上方には暗黒帯をへだててM43が巨大な鳥の頭とくちばしを描いています。星雲の中心に向かって暗黒帯がはいりこんでいるその先、鳥の心臓部には四重星トラペジウムがあざやかに輝いています。トラペジウムのまわりにはもくもくとした濃い明るいガスが四辺形の形にとりまいています。この四辺形の内部はブルーに、辺の部分はピンクに色づいて見えています。この領域の下方(南側)はほうきで掃いたようにいくつもの筋をえがいてガスが広がっています。そして、今まさに産声をあげたばかりの原始星なのでしょうか、ときおり星雲のなかにチリチリと微星が見え隠れしています。冬になるといつも忘れずに見てしまう、まさに冬の風物詩です。
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M51子持ち銀河(りょうけん座)Gx

 ゆるりと右回りに腕が伸びているようすがわかります。もちろん伴銀河も見えるのですが、この伴銀河による重力で親銀河の腕の一部が曲げられて変形してしまっているようすもわかります。それでも親銀河の渦巻きはまだ均整を保っています。伴銀河はこれから衝突していくのでしょうか、それとも通りすぎていってしまうのでしょうか。広大な宇宙空間では、重力がゆっくりとじわじわ支配していることを実感してしまいます。
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M57リング星雲(こと座)Pl

 高倍率でも薄れることなく、大きさを増して細部のようすを見せてくれる。XL10.5mmで楕円形に少しつぶれたようす・・・短径方向より長径方向の方が明らかに淡い。しかも、リングの外周が赤い。ぽっかりと穴があいているようにみえる内部にも、うっすらとガスが充満している。写真でよく見る姿が現実のものとして目の前に確実に存在している・・・しかも、写真では決して味わえない臨場感。星の終焉・・・太陽系の50億年後の姿がふと頭をよぎる。そのとき、人類の存在はどうなっているのだろうか。
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M80付近(さそり座~へびつかい座)Gb&DN

 まるで小口径で見たM13のようです。まん丸く光が集光しているものの、はっきりと良く星に分離され、無数の星の大集団であることがわかります。こじんまりしているのですが、明るくはっきりしていてとても見やすい天体です。でもこのあたり、望遠鏡を振ってみると、なんだか星がたくさん見えるところとほとんど見えないところがあることに気がつきます。星の分布にあまりにも違いがありすぎるのです。きっと、たくさんの暗黒星雲が入り乱れているのかなあと思いながら星図を見てみると、やはりお隣のへびつかい座に入ったあたりにたくさんの暗黒星雲がありました。それでも何か見えてこないかとラジアン18mmmで探ってみると、かえって視野内に全く星のない真っ暗な領域に遭遇してしまいました。このアイピースでの実視界は29分ほどですが、ここには全くなにもない・・・アイピースを覗いていて何も見えないというのもなにか異様な世界です。ホントは暗黒物質を見ているわけですから、赤外線で見たらどんな光景なんだろう・・・と、ふと考えてしまいました。

M104ソンブレロ銀河付近(おとめ座~からす座)Gx


 美しい惑星といえば土星・・・そして美しい銀河といえば、やっぱりこれです。まるで定規で線を描いたかのようにまっすぐに暗黒帯が伸び、明るく集光したバルジのまわりにハローが淡く丸く広がっているのです。ソンブレロの帽子のツバは暗黒帯と一緒にハローから突き出すようにながーく伸びているのです。均整のとれた美しさ・・・おとめ座にふさわしいなあなんて思ってしまいます。
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 でもこのあたり、銀河の巣なんですね。ちょっと望遠鏡を振ってからす座に入ったところに、NGC4714,4723,4722,4748といった銀河連鎖が目にとまりました。

・NGC4714は中央集光があり見やすいです。
・NGC4723はとてもボンヤリしていてはっきりしませんが、大きいようです。
・NGC4722は少し細長く、小さい感じです。
・NGC4748は小さくこじんまりと良く見えています。
これらはきっと小さな銀河群なんでしょうね。

 宇宙の大規模構造・・・超空洞ボイドの泡の表面にへばりついた銀河たちを見ているのかもしれません。

NGC288(ちょうこくしつ座)Gb

 ペガススの四辺形のα星とγ星を結んで南に伸ばしていくと、そこにくじら座β星があります。そのすぐ南、南天低く、NGC253に近接して見えています。NGC253の派手さとは裏腹に、うすぼんやりとたたずんでいる感じ・・・。のっぺりとした丸い玉・・・けっこう大きく、微星に完全に分離しているものの、やっぱりのっぺりとした丸い玉。中央の集光がまるでない、一様な星の分布・・・けっこう星と星の間隔が開いているようで、ちょっとスカスカした感じ。まあ、なんとも幽霊みたいな球状星団であります。

h-χ二重星団(ペルセウス座)OC


 カタログ番号はNGC869と884。双眼鏡ではもちろん、肉眼ですら見えるメジャーな明るい散開星団・・・小望遠鏡に低倍率で寄りそって輝いている姿がなんとも美しい。なにも50cmで見なくても・・・と思っていた。しかし、山の澄んだ空気のもとで、見かけ視界82°のナグラー31mmを使ってながめたら、なんともぶったまげてしまったのです。超広角の視野をふたつの星団の星々がドドーっとあふれてうめつくしているのです。ギンギンに輝く星団の星たち、写真では到底味わえない臨場感がそこにありました。倍率は約73倍でほぼ有効最低倍率。7330光年のこの星団が100光年の距離に近づいていることになる。しかも、有効最低倍率ということは、瞳がめいっぱい開いた状態で見ていることになる。夜空をふつうにながめるのと同じようにながめていることになるのですから、100光年の至近距離まで旅をして見ているのと同じことになるのです。100光年といえば、ふつうに肉眼で見ている夜空の明るい星々と同じレベルです。ひとつひとつの星が大きいのでしょう、とにかく明るい、だからにぎやかでまぶしい・・・大迫力の世界であります。

NGC2207とIC2163(おおいぬ座)Gx

 まるでピーナッツのようです。明るく大きいNGC2207に小さなIC2163がつながって見えているのです。このふたつの銀河の衝突シーンをとらえたハッブルの画像が公開されて話題を呼びましたが、いままさに衝突して、小さいIC2163の方が潮汐力で強く変形して細長くなっているようすがわかります。地球から1億6300万光年の距離での衝撃的なできごとが、小さなアイピースの中に広がっているのです。
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NGC2903付近(しし座)Gx

 しし座の頭部、逆クエスチョンマークの先っぽにNGC2903という大きな銀河があります。距離2050万光年、9.7等級、Sbc型・・・なるほど中心がとても明るく集光していて、全体に楕円形で棒状の感じ、そして腕が2本広がって出ているようすと濃淡があるようすがわかります。こんなに明るいのにメシエさんは気がつかなかったのかなあ・・・なんて思ったりしてしまいます。
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 でも、このあたりは天の川から離れているので銀河物質が少なく、他のマイナーな銀河も見えたりします。ちょっと望遠鏡を振ってNGC2916、さらに振ってε星とλ星の中間あたりにNGC2929,2930,2931、ちょっと離れてNGC2927、さらにNGC2896・・・銀河系外宇宙の旅をしてしまいます。

・NGC2916は丸くぼんやりしているものの、けっこう見やすいです。
・NGC2929,2930,2931は小さな銀河群でしょうね。
・NGC2927は丸くぼんやり見えています。おそらくNGC2929の銀河群のメンバーでしょう。
・NGC2896は2個程度のツブツブがあって、そのまわりが丸くぼんやりにじんだようにみえています。

・・・12等級から14等級の銀河たち、きっと数億光年の世界でしょう。私たちの局所銀河群(天の川銀河やM31アンドロメダ銀河など)を数億光年もの遠くからながめて、「小さな銀河群だな」なんて思っているETがきっといるんでしょうね。

NGC6543キャッツアイ星雲(りゅう座)Pl

 低倍率ではまるで恒星のように明るいがとても小さい・・・そこで倍率を上げてみます。すると、中心星がはっきり見えてきます。死に絶えた星、白色矮星です。じっと見つめると星雲の光は弱まるが、視線をそらすと星雲全体が明るく、まるでキャッツアイのごとくやや扁平に広がって見えてきます。見つめたり、視線をそらしたり、また見つめたり・・・するとキャッツアイ「猫の目」がまばたいているのです。このまばたき感はNGC6826(まばたき星雲)にそっくりです。なにやらハッブルの画像で見たような線状の濃淡も感じられます。

 惑星状星雲はみな小さいけれど、それぞれが個性的な姿をしているなあと思うのです。きっと、中心星が現役の恒星として生きていた時代のちょっとした成分元素のちがい、大きさのちがい、自転速度のちがい、連星系であったかどうかなど、いろんな要素がからまって星雲の姿が決まってくるのでしょう。私たちの太陽系は50億年後にはどんな姿になっているのでしょうか。今は誰も知らないのです。


かみのけ座銀河団(かみのけ座)Gx

 赤経13h0m、赤緯+28°を中心とするわずか1~2°の範囲におびただしい銀河の群れがあるのです。あの有名なおとめ座銀河団よりはるかに遠い、ほとんどが13等級台の暗い銀河たち・・・夜空のバックの明るさを消すためにはある程度の高倍率が必要です。そこでラジアン18mm・・・倍率125倍、実視界29分で数億光年の世界が目の前に広がりました。1個、2個・・・と数えては視野をちょっと振ればまた別の銀河が視野の中に入ってくるのです。星図と見比べてもどれがどれだか同定不可能。とにかくウジャウジャです。

 この光は網膜に反応しているだけなのか、吸収されているのか・・・考えてしまいました。吸収されているとしたらすごいことだなとか・・・いろいろ考えてみたのですが、光はエネルギーだから反応しているということは吸収されているはずだという結論に至りました。うーん、すごい!!数億年の旅をしてきた光、先カンブリア代に発したもしれない光のエネルギーを自分の網膜が吸収しているのだという実感!クエーサーを除けば、眼視で直接見ることのできる最遠の世界でしょう。なんだかとてもすごいのです。