銀河の遭遇・接近そして衝突

 恒星どうしの衝突・・・これは、まずありえないことなんですね。太陽に一番近い恒星であるケンタウルス座のα星まで4.3光年・・・これは、太陽をピンポン玉として東京に置いたとすると、ケンタウルス座のα星は遠く九州や北海道あたりにあることになるんですね。どうやってねらいをつけても当たるわけがありません。恒星の大きさに比べて、おたがいの距離は桁違いに遠いので、衝突はまずありえないというわけです。

 

 一方、銀河どうしの遭遇・接近そして衝突・・・これはけっこうあることなんですね。現に、私たちの銀河系も230万光年離れたお隣のアンドロメダ銀河M31とお互いに徐々に近づき合っていて、数10億年後にはやがて遭遇・接近・・・そして衝突・合体しひとつの巨大銀河として生まれ変わるのだろうといわれています。銀河の大きさをおよそ10万光年とすると、その約20倍程度の距離にお隣の銀河がある。銀河をピンポン玉とすると、その1m以内にお隣の銀河があることになる。銀河の大きさに比べて、おたがいの距離はけっこう近い、だから遭遇や衝突も起こりうるというわけです。

私たちの銀河系に接近しつつあるアンドロメダ銀河M31

12.5cmライトシュミットカメラ(f 475mm)+キヤノンEOS kiss D にて撮影

8分露光×4(加算平均) ISO1600

もっと遠くに目を向けてみると、そこには遭遇・接近や衝突の現場があるのです

M51

35cmシュミットカセグレン(レデューサー f 2485mm)+キヤノン EOS kiss D にて撮影

20分露光×3(加算平均) ISO1600

 2510万光年の距離にある、りょうけん座の銀河です。「子持ち銀河」とか「親子銀河」とよばれ、大きな渦巻き銀河(M51・NGC5194)に小さな伴銀河(NGC5195)がくっついて見えています。しかし、これはまぎれもない銀河どうしの遭遇・接近の現場です。2つの銀河を結ぶ星の架け橋のようすも見えています。小さなNGC5195との重力による相互作用で、M51の渦巻きがゆがんでしまっているようすがわかります。するとずいぶん重たい「子」のようですが、やはり、伴銀河の方が2倍も重たいと考えられています。たしかに矢印のところで渦巻きの螺旋が折れ曲がっていて、伴銀河NGC5195による影響の大きさがよくわかります。もし、この伴銀河がなければ、M51は腕のずいぶん広がった典型的なSc型銀河として見えているのでしょう。

NGC2207&IC2163

35cmシュミットカセグレン(レデューサー f 2485mm)+キヤノン EOS kiss D にて撮影

15分露光×3(加算平均) ISO1600

 1億光年以上もの、はるかかなたで起きている渦巻銀河どうしの衝突の現場です。右がNGC2207(幅約14万光年)、左がIC2163(幅約10万光年)・・・大きなNGC2207の強力な潮汐力で小さなIC2163はゆがみ、潮汐力で引き伸ばされているようすがわかります。大きなNGC2207もゆがんでいます。およそ4000万年前の遭遇・接近に始まったとされるこの銀河衝突・・・いったんは、すれちがったはずの2つの銀河が、強大な重力で合体して、数10億年後にはひとつの巨大な銀河になってしまうのだろうと考えられています。おおいぬ座にあります。

 私たちの銀河系とアンドロメダ銀河M31との遭遇・接近そして衝突・・・そのとき地球はどうなってしまうのでしょうか。

※宇宙が加速膨張しているという現代の宇宙論では、私たちの銀河系とアンドロメダ銀河M31の引力より加速膨張のほうが勝ってしまい、遭遇・接近はしないだろうという考えもあるようです