35cmシュミットカセグレン望遠鏡

マルチコート補正板の妖艶な奥深いグリーン。鏡筒内面は漆黒の闇、完全艶消しブラック。

・・・心うばわれます。

天文台ドーム


 鉄筋コンクリートの自宅の屋上に設置してあります。屋上からは津久井湖を眺めることができ、夜になると橋本方面へつづく町並みの夜景が見られます。光害は東の空は橋本、相模原市街の影響、北の空は八王子の影響が天頂あたりまで強いのですが、南西方向は比較的暗く天の川を見ることができます。幹線道路からも離れているので、振動の影響もなく快適に観測することができます。

 

 天文台ドームは協栄産業マウナケア2.6mACMで過半球タイプなので広々とした使用感があります。ドームの回転は手動で行いますが、観測室内のどこにいてもレールが手の届く範囲にあり便利です。観測室は角形を採用しました。角形観測室は床面積が広くなり、四隅は機材等を置くスペースにも使えると考えたからです。スリットは上下開閉式で、下部は脱着式ハッチになっていますが、高度の高い天体を観測するときはこのハッチをつけたままにしておきます。こうすることで街灯などドーム外からの光の侵入を最小限におさえることができるからです。

ジャイアントイージーガイダーとガイド星の選定

 ルミコン社のジャイアントイージーガイダー(オフアキシスガイダー)を取り付けたところです。

 

 実際の写真撮影では、ガイド星の選定は星図ソフトを使用して、F7での使用時は対象天体を中心において直径約50分角の円周上にある恒星を選定します。F6~F5.5での使用時、つまりレデューサーレンズがオフアキシスプリズムより前にあるときは直径約70分角の円周上にある恒星を選定しますが、この場合テープをはさむなどしてプリズムの角度を調整する必要があります。

 

 

 

レデューサーレンズ

 ジャイアントイージーガイダー(オフアキシスガイダー)に内蔵されている脱着式の大型レデューサーで、直径は8cmほどもあります。レデューサーレンズの位置を変えたり、延長チューブを使用したりすることで、直焦点のF11をF7~F5.5に明るくできます。シュミカセ特有の像面湾曲も補正してフラットになります。

 

同焦点アイピース

 写真撮影のピントはボーグヘリコイドとラジアン12mmを組み合わせた同焦点アイピースを使って一発で決めます。

 

 まず、比較的明るい恒星を使ってカメラの液晶モニターでピントを追い込んでから、これに付け替え、ヘリコイドを回してピントを合わせます。ピントが合ったところで矢印(写真参照)の先にあるネジで固定し同焦点アイピースを作っておきます。この同焦点アイピースとカメラのピント位置は一致(だから同焦点アイピースという)していることになり、次回からはこのアイピースでピントを出せば良いことになります。

 F7では12mmで十分な精度ですが、もっとF値を明るくした場合はさらに短焦点のアイピースにすると原理的には精度が出るはずです。

正立ファインダーとヒーターコントローラー

 ファインダーはやはり正立像が便利です。とにかく、実際の星空と照合しやすい。直視型が狙いをつけやすいが、苦しい姿勢になることもあるのでアイレリーフが長く覗きやすいものがいい。そこで国際光器の8×50正立ファインダー。アイレリーフが18mmもあり、メガネをかけたままでも覗きやすいのです。

 

 そして欠かせないのが、街灯などからの迷光防止のためのフードと夜露対策のヒーターです。ヒーターはフード内蔵ヒーターとファインダー用を常用し、さらに必要とあれば2インチサイズやアメリカンサイズのアイピースにも・・・というわけで、4連式のヒーターコントローラーであります。

 

脱裏像

 カセグレン系や屈折式の望遠鏡では、多くの場合直視では首が痛くなってしまうので、いわゆる天頂ミラーなどを使用する。すると、裏像になってしまい、月などを見たときにはなにがなんだかわからない。この宇宙のどこにも存在しないものを見ているわけで・・・。文字だったら読めない。

 

 というわけで、松本式正立ミラー。高反射率の銀メッキ平面鏡を2枚組み合わせたもので、光路を90°折り曲げながらも明るい正立像を楽しめる。

 

 ・・・裏像から解放され、楽な姿勢でホントの宇宙を眺めることができるのであります。

 シュミカセは大口径でも鏡筒が短く取っ手が付いているので扱いがとても楽です。この手軽さ、便利さは、快適な観測を実現してくれます。

 

便利ゆえ 楽しく眺め 楽して写す これぞまさしく“天文楽”なり