星空旅行

七夕伝説のウソ・ホント

 夏は七夕の星そして天の川がもっともよく見える季節です。夜になったら真上の空を見上げてみましょう。明るい星が大きな三角形を形づくっています。夏の大三角形といわれるもので、ここに七夕の星があります。七夕の星は「彦星」そして「織姫」といわれますが、彦星はわし座のアルタイルそして織姫はこと座のベガです。このふたりが年に一度七夕の日に出会うというお話ですが、実際にはこの二つの星の距離は17光年も離れているそうです。つまり、光のはやさで走っても17年もかかるというわけです。やはり、七夕のお話は伝説のようです。でも、相対論の浦島効果を利用すればなんとかなるかもしれません。超高速で旅をすれば時間がゆっくりと進むからです。はたから見ていると17年以上かかっていても、宇宙船内部では1年も経っていないということが起こり得るのです。そして、この二つの星の間を流れているのが天の川というわけです。

天の川の正体

 天の川はいったいどんなものなのでしょうか。肉眼ではぼんやりした白い淡い光にしか見えません。そこで、望遠鏡を使って覗いてみましょう。いままで見ることのできなかったたくさんの星が見えてきます。宇宙は思っているよりもはるかに多くの星たちで満ち満ちていることがわかってきます。

望遠鏡で覗く星空は宇宙船の窓から見た風景なのだ!

 望遠鏡という道具は約400年前にあの有名なガリレオ・ガリレイが発明したと言われていますが、この発明以来急速に宇宙のことがわかってきました。望遠鏡を使うことによって肉眼よりはるかにたくさんの光を集めて明るく、倍率をかけることによって大きく、つまり距離をグーンと近づけて見ることができるようになります。だから望遠鏡で見える眺めは、宇宙船に乗って宇宙に出かけていったときに宇宙船の窓から見える眺めと同じことになります。気分は宇宙旅行です。しかも、エンジンや燃料をいっさい使わずにすみます。こう考えると望遠鏡というものがいかにロマンあふれる道具であるかということが分かると思います。さあ、望遠鏡を使って星空を眺めてみましょう。

星の一生が見えてくる

 望遠鏡を使って眺めると数えきれないくらいたくさんの星が見えてきます。天の川の正体は無数の、おそらく2000億個はあるといわれる星たち、つまり私たちの銀河系なのです。そして望遠鏡の向きを変えながら宇宙旅行をしてみましょう・・・するといろんな天体が見えてきます。ぼんやりした淡い光で輝いている散光星雲・・・ここから新しい星がどんどん生まれてきます。たくさんの星が集団になって集まっている散開星団・・・集団で生まれた若い星たちです。惑星のようにみえる小さな惑星状星雲・・・星が一生の最後にはきだすガスです。いろんな天体を観察していくと、星にも人間とおなじようにその一生があることに気がつきます。私たちの太陽も46億年昔に散光星雲の中で生まれたのですが、50億年後には死んで惑星状星雲になってしまうでしょう。そして、こうしたさまざまな天体は、銀河系内だけにかぎっても遠いものでは数万光年もの彼方にあるものです。つまりそれだけ過去の姿を見ていることにもなるのです。望遠鏡を使った宇宙旅行は空間だけではなく時間の旅ともいえるわけですね。