星空をながめる

 天体観望会を行うと、人たちは“宇宙を体感する”ということで、驚き、喜んでくれるので楽しいものです。

46億年前・・・

 私たちの住んでいる地球、そして太陽系は約46億年前に生まれたといわれています。宇宙のガスやチリが集まって、太陽や地球になったわけです。でも、人類の科学文明はまだまだいいとこ数百年・・・地球の歴史からみれば、ほんのつい最近のできごとです。文明とまではいかなくても、最古の原始生物は38億年前、恐竜が2~3億年前から6500万年前、猿人が数百万年前、現代人のルーツともいえるクロマニヨン人が数万年前、そして自分は数10年前です。たった数10年の自分が「これはずいぶん新しいクレーターだ」なんて言いながら、2億年前にできた月面のティコクレーターからの光条を見ていたり、すばるの星たちを見ながら「5000万歳ぐらいの赤ちゃん星です」なんて言っている。なんだかすごいことを言っているんじゃないかと思ってしまいます。

ティコクレーター

すばる

50億年後・・・

 では、太陽系はこれからどうなっていくのでしょうか。いずれ太陽はふくらんで赤色巨星という大きな星になり、地球をも飲み込んでしまい、ついにはガスを宇宙空間に放出していわゆる惑星状星雲になります。そして、そのガスはやがて広大な宇宙空間に広がり、見えなくなってしまいます。それはおそらく50億年後であろうといわれています。たとえば代表的な惑星状星雲であるリング星雲を見ながら「太陽も50億年後にはこんなふうになってしまうんです」なんて言っている。これまた、なんだかすごいことを言っているんじゃないかと思ってしまいます。

リング星雲

すごく小さな私たち

 宇宙をながめて「すごいなあ!」とか「広大だなあ!」と思える私たち・・・これは私たち自身が、時間的にも空間的にも「すごい小さな存在」だからなんですね。最近、地球環境の問題がよく話題になりますが、恐竜絶滅のスピードより今の生物種絶滅のスピードのほうが速いなんていう話を聞くと、ちょっと深刻な気分になります。温暖化・・・そうするとやがて異常気象・・・温暖化で気温が上がれば、水蒸気量も増えるから大雨・土砂災害多発・・・その熱は運動エネルギーとなり暴風・竜巻多発・・・ついには文明の力をもってしても生きていけない私たち人類、なんてことになったら「もっとすごい超小さな存在」ということになってしまいます。

星空をながめる・・・

 星空の正しいながめ方・・・それは寝っ転がって見ることでしょう。宇宙には上も下もありませんから、地球から宇宙をながめる一番自然な“ながめ方”です。目の前いっぱいに広がる宇宙・・・手を伸ばして星をつかんでみたくなります。そして宇宙の広大さと私たちの小ささを体感するのです。そして双眼鏡や望遠鏡あれば、その宇宙にさらにもう一歩近づくことができるでしょう。星空をながめながら、いろいろと想いをめぐらしてみる・・・楽しいことです。

 

【注意】寝っ転がってながめるときは、道路や駐車場などではなく、車にひかれない安全な場所を選びましょう。宇宙旅行は安全第一です!!