月の砂漠

水と生命あふれる地球

 近年、地球環境の破壊が問題となっていますね。46億年の歴史を経て生命を育んできた地球が危ないというのです。そうすると人類の行方も危ないというわけです。一方で、太陽系外の惑星系も間接的ながら発見されてきていますが、そうすると宇宙は生命で満ちあふれているのではないかという考え方をすることもできます。地球は水の惑星ともいわれるようにこの太陽系でただひとつ生命に不可欠な水が固体・液体・気体のいずれでも大量に存在しうる環境をもっています。地球より内側をまわる金星では大気はあるのですが温度が高すぎて水は液体でいることができません。ちょっと外側をまわる火星では今度は温度が低すぎてやはり液体でいることができません。「太陽という140万kmの直径をもつG型星から1億5000万kmのところをまわる地球は、水や生命にとってとても都合の良い惑星」なのです。水が生命にとってどれだけ重要なものであるのか疑う余地はないところですが、水分子は電波観測で宇宙に存在することがわかっているし、隕石中にも存在することから、かつて微惑星や隕石の衝突によって地球が形成されたとき、含まれていた水が分離して海をつくり生命を育んだと考えられています。だから、恒星からの距離がちょうど良いところに他の惑星系が発見されていけば、いずれ地球外生命も簡単に見つかるときがくる・・・と思ってしまいます。

月はどうでしょう?

 月は地球のまわりを約38万kmの公転半径でまわっていますが、これは1億5000万kmもある太陽からの距離と比べればとるに足らない大きさです。つまり「太陽という140万kmの直径をもつG型星から1億5000万kmのところをまわる月は、水や生命にとってとても都合の良い衛星」なはずなのです。ところが月には生命どころか水の海すらありません。誕生したころには大量の水が存在した可能性があるのですが・・・。一面の砂漠であり、月の土壌はレゴリスと呼ばれ生命とは無縁のものとされているのです。

コペルニクスクレーター

良くめだつ新しいクレーターです。

ラモント付近

しわなのか、幻のゴーストクレーターなのか。「月面の奇観」です。


地球は奇跡的な存在?

 こう考えると地球が水の惑星であることは奇跡的なことなのかもしれません。近年、森林が減少し砂漠が広がっているという私たちの地球・・・微妙な自然界のバランスを壊してしまいかねない人類の文明、この文明は地球を人工的に「月の砂漠」にしてしまう力をもうすでに備えてしまっているのかもしれませんね。