散光星雲

 銀河系の中を私たちの太陽系は約2億年を周期として公転しているといわれている。太陽系が誕生してから46億年の間に太陽は今まで約23周も銀河系内をさまよっていたことになる。銀河系の構造はよく知られているように渦巻きであるから、星間物質の濃いところ、薄いところを幾度となく通り過ぎてきたことになる。星間物質の濃いところは今でも星たちが生まれ続けている。いったん星が誕生すると、その星から放たれる紫外線によって電離した水素原子が特有の輝線スペクトルである波長6563Åの赤い光を放つようになり、これが散光星雲として観測される。代表的なものにオリオン大星雲があるが、ここは特に水素が豊富で、今まさに新しい星たちが生まれ続けている。ハッブル宇宙望遠鏡による画像では、ここにある多くの原始惑星系星雲のようすが詳しくとらえられている。星たちはこうして大きな星間雲から集団で誕生することが多いらしい。一方、星は周囲にダストの雲を伴っている場合がある。こうしたダストは星の光を反射して輝き、やはり散光星雲として観測されることになる。青白い星の光を反射しているので、星雲自体も青白く輝いて見えることが多い。代表的なものにプレアデスのメローペ星雲があるが、このためプレアデスの星たちは望遠鏡で眺めるとうるんだように見える。前者の散光星雲は「輝線星雲」、後者は「反射星雲」ともよばれ区別される。また、豊富なダストは暗黒星雲として見えていることも多く、こうした暗黒物質には生命の源となる物質が多く含まれていると考えられている。

 

 太陽は46億年の昔、どんな星たちとどのようにして誕生したのだろうか。今では太陽はひとりぼっちである。一番近いケンタウルス座のα星ですら4.3光年も離れている。夜空に輝く一等星たちの多くは太陽系から数10光年は離れていて、何らかの信号をやりとりしようにも数10年以上はかかってしまう。しかし、星たちはランダムな固有運動を続けている。いつか、太陽系が他の恒星とめぐり会うときは来るのであろうか。今、人類はSETIを通して積極的にETの存在を確かめようとしているが、人類の文明が永遠に続くなら、いつか自然に他の文明にめぐり会う日が来るのかもしれない。それまでに人間の一生と比べたら気の遠くなるほどの長い時間がかかるであろうが・・・宇宙の時間の流れの中ではほんの一瞬のタイミングなのかもしれない。