NGC5866レンズ状銀河のゆがみ

 レンズ状銀河とされてはいますが、赤みを帯びたバルジを貫いて暗黒帯があり、左右に突き出した青色系のディスクが見えています。暗黒帯はダストの存在を意味していますし、青色系のディスクは新しい星を生み出していることを示唆しています。そうすると、真横から見ているエッジオンタイプのため見えないだけで、渦巻が存在しているのかもしれません。たしかに、ウラノメトリア星図によるとS0型ではなく“SA0”という記述があります。レンズ状銀河と渦巻銀河の両方の特長をもっているということでしょう。

画像1

2010年5月22日

35cmシュミットカセグレン望遠鏡

レデューサー

合成焦点距離2485mm(F7)

露出5分を4枚コンポジット合成(加算平均)

ASTRO 50D(冷却 EOS 50D)

ISO3200

ホワイトバランス  オート

NRF-JPNフィルター

 画像1を見ていると、レンズ状銀河と渦巻銀河の境はどこにあるのか分からなくなってきます・・・というより、この銀河がその“境”そのものといえるのかもしれません。

 赤色系のバルジは年老いた星の集団でしょうが、青色系のディスクは若い星たちで構成されているのでしょう。そして、この左右に突き出した青色系のディスクを結ぶように暗黒帯のダストが存在しています。青色系のディスクではもうすでに新しい星の材料となるガスが枯渇してしまっていて、もう新しい星は生まれてはこないともいわれていますが、暗黒帯ではこの瞬間にも新しい星たちが誕生しているともいわれています。とすると、左右方向ではもう新しい星の誕生はないのに、それに直行する視線方向では星の誕生が続いているということになり、銀河としての対称性がくずれてしまい、なんとも不自然です。いったいどんな構造なのか、いろいろな角度から眺めてみたくなります。数千万光年という距離を考えると、絶対に無理ではあるのですが・・・。 

 ところで、さらによくよく見ると何かちょっとゆがんだようすに気がつきます。そのようすを示したのが画像2です。

画像2

 青色系のディスクと暗黒帯が同一線上にはないのです。わずかではありますがずれています。過去において、別の銀河とすれちがった時に受けた重力のせいでしょうか。いずれにしても、大宇宙の重力場によってゆがんでいるのでしょう。

 楕円銀河とちがい渦巻銀河の多くは多かれ少なかれゆがんでいます。この銀河も例外ではないようで、どうやら渦巻銀河に“かぎりなく近い”ようです。NGC3115と比べても一目瞭然ですが、一口にレンズ状銀河といってもさまざまな形態があるのだといえるでしょう。

 それにしても、渦はあるのでしょうか、ないのでしょうか。あるとすればどんな渦でしょう。なんとか“フェイスオンタイプ”としてぜひ真上から見てみたいものです。やはり絶対に無理ではあるのですが・・・。

 

音叉図ともよばれる、有名なハッブルの銀河分類を下に示します。